Saturday, October 26, 2013

シゴトの定義。




Q. あなたの仕事を、教えてください。

ムサシ「僕は、絵描き。毎日アトリエで作品をつくってる。」

オツウ「私は、美容師。美容院を営んでるわ。」

コジロー「俺ぁ、会計士。正確には監査法人だ。」

マタハチ「寿司ィ、握ってますヘイ。」

Q. 楽しいですか?

ムサシ「楽しいよ! 生活は苦しいけど、描いてると何もかも忘れられるんだ。こういう実感が生きてる上ですごく大事な時間だと思う。」

オツウ「はいもちろん! 忙しいときもあるけど、同じお客さんが通ってくれたり、髪やりながらお話できたり、ね。」

コジロー「楽しいなんてもんじゃないが、やりがいはあるゼ。人様や会社のお金を管理するのって、例えるならビジネス界の医者、なんてな。カッコイイだろ?」

マタハチ「前からネ、誰かにご馳走すンのが大好きなんスよ。こうして握ってるとネ、お客さんがのぞくんだ。へっへへ、今できやすから、待っててくださいネ~、ってね!」

Q. あなたの仕事で、つらいこととは?

ムサシ「絵描きには2タイプあるんだ。ひとつは自分の作りたいものを作るタイプ。もうひとつはお客の注文をうけてつくるタイプ。僕は前者だけど、これって世間では分かってもらいにくくてさ。毎日毎時間感受性を研ぎ澄まして、アイデアを蓄積して、それをパズルのように組み立てていく。そのうちに表現したかったゴールが埋もれちゃわないように、しっかりとその手綱を握ってなくちゃいけない。僕らは気分で作ってるんじゃなくて、気分によって左右されちゃう、繊細な作業をしなくちゃいけないんだ。見る人は分かるんだよね・・・。ちょっとした妥協で、来月パンだけで過ごさなくちゃいけなくなったりね。はは・・(苦笑)」

オツウ「常連さんがつくまで、それはとても大変でした。今でもそうだけど、ひどいときなんか1日に2人くらいしかお客が入らないときだって、あるのよ。だからもっと自分からお客さんを集めたりもするわ。知り合いにうちのお店勧めたり、知らない人でも「あら素敵な髪!」とか言ってさりげなく口コミしてみたりね。こういうコミュニケーションって、この仕事はほんっと大事。髪はうまく切れても、仏頂面の美容師に切ってもらいたいと思う? 髪の手入れや注文も、人によって要望や、髪や頭皮の健康状態などもあるから大変。忙しい時ほど手が荒くなっちゃうから、そこが一番気のつかいどころね。」

コジロー「そこ聞いてくれてありがとう(苦笑)。とにかく労働時間が長いんだな。うちは残業手当も底ギリラインだし。この仕事は誰でもできるわけじゃなく、キャリアベースのひと握りの人間しかできないんだ。その責任感とストレスとあったらな・・家帰って女房や子供たちの顔見ればホッとはするけど、脳みそや全神経シャットダウン。週末やっと人間として生き返るって感じさ。でもやりがいって、負け惜しみだけで言ってるんじゃない、ホントにあるんだぜ? いろんな顧客も扱うし、そのたびに新しく学ぶことも多い。 やり始めは分からなくても、あとから分かってきて「ああそういうことだったんだ」って。そういう繰り返しでだんだんプロセスの全体が見えてきて、そうするとさらに細かいところまで一つ一つ見えてきて、配慮できるようになる。生活でも効率や工夫って、大切だろう? そういう、生きる知恵になってるんだと思うよ。」

マタハチ「寿司職人っちゃ、修行して一人前になるまで10年はかかるっていいやすが、器用な人間でも5年はかかりやすかね。要は人間10年分くらい、なにか根ツメて努力するってェことじゃないすかね。あたしもだいたい15年は下積みしてたんスが、店の管理諸々、ネタの見方、味のよしあし、ネタの季節の変化や、そのための酢や塩の加減、そういうのをいつも親父にならってここまで来たようなもんでサ。そんな時期が過ぎれば楽なもんだろってよく言われるんスが、そうでもないんスよこれが。うちは代々握ってますから、学生時代はまんま継ぐなんて嫌でしたからねェ。いろんな仕事を転々としながら、気づいたんでさ。そんな中でも寿司屋の息子に生まれたってのは、ありがてぇことなんだって。つらいっちゃ、やっぱりネタの移り変わりをしっかり把握することですかね。1年の中でその時々、同じネタでも"顔"が違うんスよ。あとはじめのうちは寒い季節がきつくてね。冷たい水や湯、酢や塩を触ってるうちに手があかぎれてきやがってね。今になって寿司飯も手につかなくなって、やっと握り手のようなのができてきたんでさ。」

Q. 他の仕事について、どう思いますか?

ムサシ「僕はあまり考えたことないけど、みんな一生懸命にお金稼いで、すごいなって思う。僕のは、一発あててなんぼの世界だからね。」

オツウ「前にスーパーとか、清掃員とかやったんだけど、それぞれに使う力が違うし、やりがいもつらいことも、形が違うけど面白かったわ。」

コジロー「正直うらやましいね。うちほど忙しくない仕事とか。でもやっぱりうちには家族もいるし、お金を稼がないとね。稼いだぶんで飲んだり、週末パーっとさ。これが最高なんだ。わかるだろ? よく、自分のため家族のために動いてる自分を、RPGの勇者みたいにイメージするよ。」

マタハチ「たまにふと、面白そうだな~ってぁ思いますね。でも、新鮮な魚選んだり、寿司を美味しく握ること考えるのに比べたら、他なんてかなわねえッスよ。」

Q. あなたにとって、人生において仕事って何ですか?

ムサシ「生きることの答えそのものだと思う。生きる意味なんて分からない。けど、分からなくても求めながら生きよう。そのための絵だと思う。」

オツウ「生活の土台、張り合い。生活の意味でも、価値の意味でもそう思うわ。そして髪を切るのが仕事なんじゃなくて、なにより私のキャラクターとコミュニケーションをつくる営みっていう感じ。」

コジロー「僕はかっこいいこと言えないけど、「途中経過」かな。これからまだまだキャリアアップしていきたいからな。それは俺だけの話だけど、家族みんなにとって仕事は、幸せづくりそのものだな。」

マタハチ「僕もそんなかっこいいもんじゃないスがね、あえて言うなら「失敗」。 失敗してこそ、人生を学ぶステップ。仕事はそのステップアップの機会を見つける場所。なんてね!へっへへ」


- それぞれに全く違う仕事をする人たち。世の中が毎日回っていく中で、
つらいことも、楽しいことも、価値も、それぞれに形は違えど、
みんなそれぞれにうまいバランスで回っている。
だから、仕事には、苦しい仕事も楽な仕事もないようである。

(以上は、自分を含め実際に4種の職業で活躍されている人たちのお話を参考にしました。)

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